当法人が、明るい海と美しい緑に包まれたここ淡輪に、特別養護老人ホームを開設したのが昭和63年4月のことです。
我々のご利用者様である高齢者は、苦しい時代を生き抜いて私たちの社会を築きあげた主人公です。 ですから、いつまでも夢を持って楽しく生きていただきたい、そんな思いで当法人は、より快適に過ごしていただけるよう設備の充実に努めるとともに、ご利用者様に常に喜んでいただけるような運営を目指しました。
その後、平成13年には老人保健施設みさきを開園し、平成14年にオアシス阪南デイサービスセンター、平成27年に在宅介護支援センター淡輪園を開設しました。
これら社会福祉法人親光会の各施設は、これからどのような時代が訪れたとしても「ご利用者様が楽しく生活できるところ」であることに変わりはありません。 そして私どもは、初心を忘れることなく、いつまでも「温もりのある福祉」を追求し続けたいと思います。
当法人が誕生したきっかけは、昭和58(1983)年にさかのぼります。 当時、後に初代理事長となる西浦鐵雄は福祉とは関連のない仕事をしていました。 ある時、職場へ近くの入所施設から高齢者が迷い込んで来られました。 その人は、空腹を訴え衣服も汚れていたそうです。
鐵雄は、施設からの迎えを待つ間に風呂に入っていただき食事をお出ししました。 そうして満足顔で帰っていただこうと思ったのですが、別れ際にその人はなぜか悲しそうな表情をされていました。 訳を訊ねると、どうやら施設に戻りたくないようです。 その後もその施設から何人かの迷い人が来られたのですが、皆さんお腹をすかせていたということです。
「これまで世の中に貢献してきた、人生の先輩である高齢者が悲しむ姿を見るのはつらい」鐵雄は心を決めました。 「一尾ではだめだ!食事ではエビフライを二尾食べて、心から笑顔になって、皆さんに満足していただけるような老人ホームを作るんだ!」と。 そして行政に働きかけ、各関係機関へ奔走して、昭和63(1988)年4月についに特別養護老人ホーム淡輪園を開園しました。
淡輪園が開園した後、施設の行事のひとつとしてご入所者様といっしょに遠足や旅行に出かけました。 関空が開港してからは、四国や九州までも足を伸ばしました。 旅行先でチャーターしたバスの目印として、当時の職員が心をこめて旗を作りました。 その旗に刺繍されていたのが、淡輪園のマスコットであるおじいさんとおばあさんのイラストと、「笑顔で暮らせる豊かな生活」の文字でした。
その後平成21年になって第三者評価を受ける際に、法人や施設運営の理念を問われることなり、職員の意見が一致して、あの旗に書かれていた文言を理念にすることにしました。
初代理事長となった鐵雄は、その理念に基づく法人の目指すべき目標について、次のように話しています。
「いろいろな事情で施設に入所される高齢者の方々の中には、残念ながら笑顔を忘れてしまっている方もいらっしゃいます。 当法人は、こうした方々に寄り添って少しでも多くの笑顔を取り戻していただくこと、また長い間の山あり谷ありの人生の最期の部分で『ああ、これならよかった、豊かな人生だった』と心から感じていただけること、これらを目標とします。」
さらに現在では、親光会は地域に根ざした社会福祉法人として、施設に入所していただいている高齢の方々だけでなく、心身の障害を持つ方々や他のさまざまな理由で支援を必要とされる地域の方々に対しても、百数十名の法人職員の多様な能力を発揮して、笑顔あふれる地域社会の創造に寄与することも目標に掲げています。
※ もちろん今でも、施設の食事にはエビフライ二尾をお出ししています。
それぞれ、クリックするとご覧いただけます。(令和6年10月現在)